「どの問題に何分かけるか」をまず吟味することで、覚悟が固まる
資格試験の本番で、試験が始まったらまず最初にやるべきことは、「試験問題全体にざっと目を通し、レビューする」ことです。すぐに1問目から順に解き出すのではなく、まずは全体を概観します。
「テレビのクイズ番組」と対比させて考えてみましょう。クイズ番組の早押し問題では、第1問、第2問、第3問…と、1問ずつ順番に出題されますよね。「第1問に答える前に第2問の内容を先に知る」なんてことはできません。なので1問ごとに緊張が走る展開となるわけです。
しかし筆記試験では早押しクイズと違って、試験開始直後からすぐにすべての問題を見てしまうことができるのです。これを有効活用しない手はありません。
問題用紙を最後のページまでざっと見て、「どんな問題が何問あるか」「解くのに時間がかかりそうな問題はないか」「解けるかどうかわからない難問はあるか」などをざっとチェックしていきます。
そうすることで、まずは自分の中で、対峙しなければならない問題の質・量についての「覚悟」を固めることができます。
そして、どの問題にどれくらいの時間を配分するかを簡単にシミュレーションします。
たとえば「この問題は難しそうだから10分ほどかかるだろう。この問題も5分はかかりそうだ。あとは基本的な問題ばかりだから、全部合わせても30分あれば解けるだろう。」といったぐあいです。
基本的な方針としては、まずは簡単に解ける問題を一気に片付けてしまい、時間がかかりそうな問題や難しそうな問題は、後でじっくり取り組むこととすべきです。
いわゆる「難問」に対しては、時間的にも精神的にも余裕をもった状態でじっくり向き合うのが望ましいのです。
このシミュレーションができておらず、出たとこ勝負で単純に1問目から順番に解いていこうとすると、途中で予想外に時間がかかりそうな問題に出くわした場合、そこで時間を浪費してしまい、時間内にすべての問題に手を付けることすらできないということにもなってしまいがちです。
「でも、試験開始直後にいきなり難問を見つけてしまったら不安になって、そのことで頭がいっぱいになってしまうのでは?」とも思えるかもしれませんが、逆に「終盤に難問があることに気付かないまま解き進めて、残り時間が少なくなってきたタイミングで初めて気付いてパニックに陥る」のに比べればはるかにましです。
最初のレビューで「解けなさそうな問題」を見つけてしまったら、「最悪そこは捨ててでも、解ける問題は確実に解く」という覚悟を決めます。
「難問」は、自分だけでなく他の受験者にとってもおそらく難問です。それに対する覚悟が自分だけ先にできていることは、間違いなく有利な状況です。
例えるなら、「これから進む道の先に落とし穴があって、周りは誰もまだそれに気づいていないのに、自分だけは先に察知できている」というような状況だといえます。実際にそれにはまってしまって初めてそれに気付くのでは「時すでに遅し」ですので、これから進むべきフィールド全体の状況はまず真っ先に確認すべきなのです。