パラリンピックの見え方も変わる?福祉・共生社会の基本を学べる検定
パリパラリンピックの障害者スポーツで活躍する選手たちを見て、障害や福祉といった分野に興味を持つようになった人もいるのではないでしょうか。
福祉や介護といった分野の資格は、一定の学歴(福祉系の大学卒など)や実務経験がないと受験できない資格が多いこともあって、一般の人が気軽に挑戦するのは難しいイメージもありますが、学歴や実務経験がなくても誰でも気軽に受験できるものもいろいろあります。
今回はそんな福祉や障害といったジャンルについて、一般の人でも基礎から学べる資格・検定をご紹介します。
共生社会コミュニケーション検定
「共生社会」とは、性別・年齢・言語・障害の有無等が異なるさまざまな人たちがコミュニケーションをとりながら、お互いを尊重し、支え合い、共に暮らすことができる社会のこと。その理念や実践例について総合的に学ぶことができるのがこの共生社会コミュニケーション検定です。
公式テキスト『共生社会の教養』は多くの気付きが得られる内容で、第3章「良かったこと調査」では障害者の方が公共交通機関やコンビニなどを利用した際の「ちょっとした配慮だがとても助かる事例」が紹介されていたり、第6章「共生社会を応援するツール」では身近な公共サービスや日用品のユニバーサルデザイン(すべての人にとって使いやすいデザイン)の事例などが挙げられたりしています。
健常者として普通に暮らしているだけではなかなか気付きにくい「みんなが幸せに生活できる社会づくり」のヒントがいくつも見つかる内容となっています。
福祉住環境コーディネーター検定
東京商工会議所が主催する検定で、高齢者や障害者でも住みやすい住環境づくりを提案するアドバイザー資格。車いすでも移動しやすい空間・動線の確保や手すりの設置など、住環境整備のノウハウや福祉用具の知識などを学べます。
「医療×福祉×建築」の総合的な知識が身につくため、医療・福祉業界のみならず建築・不動産業界などでも活躍が期待されますし、もちろん自宅のリフォームなど日常生活の場面でも役立つ知識が学べる内容となっています。
従来はペーパー試験形式でしたが近年CBT・IBT形式に移行し、試験日や会場の選択肢の幅が広がりました。
色彩福祉検定
色彩のもつ心理的・知覚的な効果を活用することにより、障害者・高齢者とのコミュニケーション円滑化や、住居内の事故リスクの軽減などに寄与する知識・ノウハウが学べる検定。
たとえば建物内の段差部分を特別な色で示すことによって段差に気付きやすくするなど、日常生活に潜む危険やリスクは住環境の内装や物品の色づかいを工夫するだけでも低減させることができます。また、色彩がもつ心理的効果をうまく使うことで、精神状態にもさまざまな効果を与えます。
カラー分野の資格・検定は多数存在していますが、医療や福祉の分野に応用できる色彩ノウハウもたくさんあるのだなと気付かされる検定です。
デジタルアクセシビリティアドバイザー
ICT機器などのデジタル機器を障害者や高齢者に対して適切にコーディネートし、その利活用をサポートできる人材の育成を目指し創設された資格(旧名称「ICTアクセシビリティアドバイザー」から2023年に改称)。「障害者等のデジタル活用を支援する人材の育成と活躍の場づくり」事業の一環として日本財団から助成を受けている活動でもあります。
出題範囲としては「障害の理解」や「テクノロジーの理解」、そしてそれらをふまえた「障害ごとの特性と支援技術の適合」などが問われる内容となっています。障害やICTに対する理解が深まるのに加えて、障害者でも使いやすい最先端のICT機器や支援技術の動向も垣間見られる検定となっています。