資格は就活に役立つ?
3月に入り、今年も大学3年生の就職活動が本格化するシーズンになりました。
私自身、「どんな資格が就活に役立ちますか?」といった質問を受ける機会も多くなる時期ですが、ここであらためて「資格が具体的にどのように就活に役立つのか?」ということについてまとめてみたいと思います。
【1】自己アピール材料として使える
もっている資格を履歴書やエントリーシートに書いて自己アピールに使うというのは、一番わかりやすい「資格の使い方」です。
ひとつの現実として、ほぼどんな企業でも「入社したら取らされる資格」があります。たとえば、不動産業界における宅地建物取引士資格や、金融業界における簿記検定などです。
このような「志望業界や志望企業に入ってから求められる資格」をあらかじめリサーチしておいて、それを学生のうちから取得してしまうことで、就活でも高い評価を受けることができるでしょう。
また、資格は自分がもっているスキルや能力だけでなく、熱意や志望度のアピールにもなります。
実際のところ、就活生の「御社が第一志望です!」というアピールについて、人事はまったく信用していません。多くの場合口先だけにすぎないということは重々承知なのです。
しかしそこで、「御社では入社後に○○資格の取得が奨励されると聞いたので、がんばって在学中に取得しました!」とアピールできればどうでしょうか。「御社で求められるスキルや資格をちゃんとリサーチして、それを実際に身に付けてしまうくらいには本気で志望していますよ」というアピールにもなるわけです。
人事は、いくら優秀な就活生でも、意欲の低い人や、「内定を出してもうちには入社しなそうだな」と思われる人には内定を出しません。志望度の高さを資格でアピールすることができれば、内定ゲットの可能性は大きく高まります。
【2】業界研究にもなる
資格試験とはそもそも、特定の業界や職種において必要となる知識やスキルをはかり、認定するものです。ということは、ある資格について勉強してみることは、その資格に関わる業界に対する業界研究そのものであるといえます。
逆に考えてみると、ある業界について業界研究をしたいと思うなら、その業界・企業で求められる資格を調べて、その資格の勉強をしてみるのが最も手っ取り早いのです。
入社後の社会人が実際に挑む資格についてリサーチするからこそ、真の業界事情を垣間見ることができます。「○○業界はこんなイメージだったけど、実際はこんな感じなのか…」というリアルな部分も見えてきます。
たとえば就活生に人気の「貿易業界」の資格としては「貿易実務検定」があります。この検定の勉強をしてみると、「貿易って華やかなイメージだったけど、書類のやりとりなどの地味な作業も多いんだな」「英会話には自信があったけど、英語の貿易書類が読めたりもできないとダメだな」といったことがわかります。
【3】自己分析にもつながる
【2】とも関連しますが、資格を通じた業界研究を行うことで、同時に「その業界や仕事が自分に合っているか・合わないか」も見えてきます。そこから自分の特質や志向についてあらためて見つめ直すヒントが見つかります。
「自分はどの業界に向いているのか」「自分にはどんな仕事が合っているのか」ということは、業界の外から何となく見ているだけでは漠然としかわかりません。
資格を通じたディープな業界研究が、結果的に自己分析にも役立ちますし、ひいては入社後のミスマッチや早期退職を防ぐことにもつながるわけです。業界研究と自己分析は表裏一体です。
【4】精神衛生上の効果もある
資格を取得することには「精神衛生効果」もあります。資格をもっていることが自信につながり、「ポジティブに行動できる」「精神的に余裕がもてる」というものです。
勉強やスキルアップなどの努力の結晶を、ただの漠然とした成長感ではなく資格として形に残すことができることで、安心できるのです。これは、一般的にはあまり重要視されませんが、実はバカにできない「資格の大きなメリット」です。
採用面接では、「不安げな学生」はそれだけで大きく評価を落とします。話す内容や能力自体よりも、ただ「自信を持った振る舞い・受け答えができる」というだけでも、大きなプラス評価につながるのです。