2019.05.28

「正しいこと」は「誤り」との対比ではじめて理解できる

資格試験の勉強は「テキストに書いてあることをそのまま覚えさえすれば得点できる」と思っていませんか?
一定の決まった試験範囲内からしか出題されないタイプの試験であれば、その内容を覚えさえすれば、知識だけで答えられる問題は普通に解答できるようにも思えます。しかし、教科書を覚えるだけの勉強をしている人は、ひっかけ問題で思わぬミスをしてしまい失点します。しっかり覚えたつもりのことが、実は細かいところまで正確におさえられていないことがあるのです。

テキストや教科書は、「正しいこと」が書かれている、いわば「正典」といえるものです。しかし、正典のような「正しいもの」にしかふれてこなかった人は、それが少しひねられた「一見正しそうなもの」を分別するカンが働かないのです。

たとえば、法律分野の試験勉強において「農地を売買する場合には、農業委員会の許可を受けなければならない。」という事実を覚えようとしているとしましょう。
この場合、この「正しい文章」だけをそのまま覚えて、なんとなく「役所のOKが必要なんだな」くらいにしか認識していないのでは、実際に試験問題として出されると得点できません。
というのも、このような内容を問う試験問題では、「正しい文章」の中の「許可」の部分を「認可」「承認」「同意」などの似たような用語に置き換えた、ひっかけの「誤りの文章」「誤った選択肢」として出てくるケースが非常に多いのです。許可も承認も同じようなものじゃないかと思えるかもしれませんが、試験ではここを明確に区別できないだけで容赦なく「×」になります。
農地売買時に受けなければならないのは「認可」でも「承認」でもなく「許可」なのだ、としっかり区別して覚える必要があるのです。
また、正しい文章の「農業委員会」の箇所を「市町村長」や「都道府県知事」に置き換えて「誤りの文章」がつくられるパターンもありますので、「役所からOKをもらう」というざっくりした認識では不十分で、「『農業委員会』から『許可』を受ける」と正確に覚えていないといけません。

しかし、テキストには「農地を売買する場合には、市町村長・都道府県知事ではなく農業委員会から、認可でも承認でもなく許可を受けなければならない。」とご丁寧に書いてくれているわけではありませんので、似た用語などと対比しながら正確に覚えるということができないのです。
そこで、できるだけ多くの問題を解いて、ひっかけの選択肢などの「正しくないこと」にも積極的にふれていく必要があります。いろいろな問題を解いていくなかで「誤りの文章」として出てくるケースにふれてはじめて「ああそうか、承認ではなくて許可なんだな」と認識し、注意深く暗記できるようになるのです。
試験勉強では「ただ教科書を読む」より「できるだけ多く問題を解く」ことを実践していく必要があります。

今回の記事は、鈴木所長の新刊『東大→東大大学院→600個超保有の資格王が教える 点数稼ぎの勉強法』(ダイヤモンド社)の一部内容をアレンジしてお送りしました。
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