2024.04.09

「検定公式テキスト」がベストな教材だとは限らない

多くの資格・検定試験には、いわゆる「公式テキスト」があります。
その資格試験の実施団体から発刊されている公式のテキスト・教科書的な位置付けの参考書のことです。
普通に考えると「A試験の対策をするなら、当然、A試験の公式テキストを使うのが一番いいだろう」と考えてしまいがちですが、試験勉強において「公式テキスト」が最も効率的でベストな教材だとは実は必ずしもいえません

のべ1000件以上の資格・検定試験を受けてきた私の経験上、「公式テキストが存在するのでとりあえず使ってみたけれど、実際のところかなりわかりにくかった(あるいは使いにくかった)」という経験は少なからずあります。
特に、ある程度専門知識が必要な技術系資格などの公式教材は、読者が一定レベルの科学的知識をすでに備えていることを前提に書かれていたりするため、「知識ゼロから勉強するための教科書」としてはまったく適切ではないケースも多々あるのです。

ただ単に「公式だから」というだけの理由で、自分に合っていない教材を無理に使い続けることは、勉強の効率を大きく落としてしまいます。
勉強していて「今の自分のレベル感と合っていないかも…」「正直使いにくいかも…」と感じることが多々あるようであれば、その時点で他の教材を買い足すことも思い切って検討してみましょう。
数千円の追加出費(参考書代)を惜しむよりも、勉強の効果・効率を改善することを志向すべきです。

「いやしかし、今私が受けようとしてるこの資格の参考書は、公式から出ているこの本しかなくて、選択の余地がないんですよ」というご意見もあるかもしれません。
宅建士や簿記検定のような、多くの出版社から多種多様な参考書が発刊されている資格ならばともかく、そこまでメジャーではない資格の場合は、「参考書は公式から出ているもの一択しかない」というケースも確かにあります。
しかしそれも「その資格対策用の教材と銘打たれた書籍はそれしかない」というだけの話であって、「その資格の対策用に使える本(専門書など)は他にも選択肢がある」ことがほとんどです。
学びたい分野をわかりやすく解説している入門書やマンガなどがあればそれを入口としてみるのも良いですし、他の資格・検定試験で出題範囲に共通部分があるものの参考書を部分的に使ってみるのも有効です。

ただ、誤解しないでいただきたいのは、これは公式テキスト自体が教材として絶対的に良いとか悪いとかいうことではなく、「勉強する自分にとってちょうどよい内容やレベル感であるか否か」の問題だということです。
教材の最適解は当然ながら人それぞれで異なりますし、同じ人でも勉強のステージに応じて最適な教材が変わってくることも普通にありえます。

いずれにしても「この試験の対策のためにはこの参考書を使うしかない」といった類の思い込みは捨てて、たえず「もっと効果的に勉強するための手段は他に何かないか」と模索していくことが重要です。

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