2018.12.05

今やらないで、いつやるの?

スキルアップのため、実務知識の習得や資格取得など、今の業務に直結する武器を身につけようと努力している人は多いと思います。
一方で、会計・英語・IT・法務・経営学といった分野のビジネススキルについては、ビジネスマンの必須スキルとして雑誌などで特集が組まれる機会も多いですが、「確かに有用そうな知識ではあるなあ」「いつかは勉強したいなあ」とは思いながらも、今すぐ必要な知識というわけでもないのでついつい後回しにしてしまっているという人も多いのではないでしょうか。
しかし、「今すぐ必要というわけでもない知識・スキル」こそ、早いうちに身につけておくほうが得策です。理由は大きく3つあります。

【1】一見実務に直結する知識ではなくとも、実は水面下で大いに役立つ
たとえば会計知識のあるなしでビジネスの見え方が大きく変わってくるということはよく言われています。他にも、経営学や経済学の知識を身に付けることによって「経済ニュースの裏を読む力」「未来を予測する力」が磨かれますし、法務の知識やノウハウを蓄えておくことでリスクマネジメントや組織運営の健全化に寄与することができるでしょう。
こうした知識はビジネスのベースとなる知識として、業務効率や組織の業績を大きく飛躍させる可能性を秘めているのです。

【2】本当にその知識が必要になったときに勉強を始めようとしても遅い
ビジネスシーンでは、上司命令で突然畑違いの業務に駆り出されることや、短期間で特殊な専門分野の知識の習得・資格の取得を求められることが往々にしてあるものです。本当にその知識が必要になったときには、じっくり勉強している暇などないケースがままあるわけです。
そうした知識や資格は余裕のあるうちに身につけておいたほうがのちのち慌てなくてすみますし、必要になったタイミングで素早く対応できれば周囲からの評価も上がります。

【3】歳を重ねれば重ねるほど勉強には不利
「30代ともなると記憶力も落ちてきて勉強がしんどい」という人がいます。私も人のことは言えませんし、それは確かに事実だとは思いますが、よくよく考えてみてください。年齢を重ねていくにつれてこれは悪化する一方です。今苦労している勉強も、5年後・10年後に同じことをやろうとしたらもっと苦労することは目に見えています。
現在以降の人生において、「今」が最も勉強に適している状態にあると言っても過言ではないのです。

また、スキルアップの中でも特に「資格取得」についていうと、「早いうちから挑戦しておくべき」理由はさらにいくつか挙げられます。

【4】資格試験はある年いきなり難しくなることはあっても、その逆はほぼない
資格試験は一般的に、創設されてから歴史が浅い段階ほど合格しやすいです。その理由はいろいろありますが、たとえば
・第1回~第2回くらいまでは試験の運営側も探り探りやっているので、評価が甘くなりやすい
・士業の国家試験などでは、合格者が増えすぎてくると合格者数を絞るケースがある
といったことが挙げられます。
前者の例としては、不動産分野の国家資格である管理業務主任者が挙げられますが、この試験の合格率は例年20%程度であるところ、2001年の第1回試験のみ合格率58.5%という異常値となっていました。
また、試験の合格率がある年に突然暴落する例としては、行政書士や社会保険労務士が挙げられます。行政書士は2003年試験で、社会保険労務士は2015年試験でいずれも合格率が例年の10%前後から2%台に暴落しています。

【5】教材や試験対策情報が充実してくると、他の受験者と差をつけにくい
資格試験の受験者数規模や知名度が成熟段階に入ってくると、数多くの出版社から試験対策本が出されたり、試験対策に特化したウェブサイトやサービスができたりします。教材の選択肢が増える・勉強しやすくなるという点ではありがたいことですが、多様な教材が世にあふれる結果、他の受験者との差がつきにくくなってしまうのもまた事実です。そのような成熟段階に至ってしまう前に、早いうちに挑んでおくほうが合格しやすい場合もあるわけです。
また、英語検定、TOEIC、日商簿記検定といった資格試験では、時流の変化等にあわせて、定期的に試験内容・出題形式の改定が行われています。これらの資格を狙うなら、他の受験者がまだ十分に対策の手を打てていない「内容改定直後」に挑むのが効果的といえるかもしれません。

ということで、林修先生の「今でしょ!」ではないですが、「いつかは勉強してみたい」という分野が何かあるのなら、今すぐにでも着手することをぜひおすすめしたいですね。

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