地方創生や地域ビジネスのアイデアにつながる、ユニークなご当地検定たち
2006年頃に全国に広がった「ご当地検定ブーム」。
京都検定は今年で20周年を迎え、さまざまな企画なども行われている一方で、受験者数の伸び悩みなどにより数年で終了・休止となってしまったものも少なからずあるのも事実。
一過性のブームにすぎなかったと評価されることもあるご当地検定ですが、実はここ数年を見てもまだまだ新しいものがどんどん出てきています。2010年代あたりと比べるとむしろ増加ペースは上がっているのではとも思えるほど。
ご当地検定のスタンダードな内容としては「地域の地理・歴史・産業・文化・名産などについて問う」というものですが、近年はそうした従来の枠にとどまらない面白い工夫や趣向が凝らされているものが増えてきている印象です。
そこで今回は、地方創生や地域ビジネスのアイデアにもつながるかもしれない、ユニークな特色あるご当地検定をご紹介していきます。
いずみさの検定
近年「ふるさと納税」関連で全国的に話題になった大阪府泉佐野市ですが、同市の「いずみさの検定」も一般的なご当地検定とは一線を画した特徴的な検定だといえるでしょう。
試験内容として、地理歴史などのスタンダードな内容に加えて「最近の市政トピック」にかなり比重を置いているのが特徴。市の財政・交通・条例・教育・施設など、市民のリアルな暮らしに直結するトピックからの出題が多いのですが、これはご当地検定としてはかなり珍しいです。
時事トピックを盛り込んだ公式テキスト(PDF)は毎年内容が改訂されて公式サイト上で無償公開されているので、「時事ニュースを逐一チェックしていないと解けない」というような敷居の高さはありません。
試験当日に受験者に配布される「お土産」もなかなか豪華で、私も2023年の受験時には泉州タオルなどの地元産品に加えて、『日根荘物語』(泉佐野オリジナルの歴史ファンタジー漫画)という、ご当地検定のお土産としては非常に珍しいものをいただきました。
地元への誇りや帰属意識を高めるとともに、暮らしに役立つトピックなども学べる、非常に有益なご当地検定となっています。
しんけん大分学検定
大分県全域を対象とした知識を問うご当地検定で、従来型の会場試験に加えてコロナ禍以降はオンラインでも受験可能な検定となっています。
この検定で特徴的なのは、成績上位者に贈呈される「特別賞」などの各種特典のラインナップが豪華すぎるという点。
詳細は公式サイトの「検定問題と認定基準及び各賞」のページをご覧いただければと思いますが、最高得点者への「大分県知事賞」をはじめとして、各市町村長賞や特別賞などが多数設定されています。
具体的な特典としては地元文化施設等の年間入場券や温泉入浴券をはじめとして、地酒セットや牡蠣などの地元産品もかなり豪華なものが揃っています。
「受験者や合格者に地元産品などがプレゼントされる」ということ自体はご当地検定ではさほど珍しいことではありませんが、これほどの規模のものはなかなかありません。総計50名分以上もの特典が用意されており、かなり多くの人にチャンスがあるというのも、挑戦意欲を掻き立てられる要素となっているといえるでしょう。
地元企業や自治体の協賛や協力がこれだけ多いということは、地元一丸となって地域を盛り上げようとしている証。現在はオンラインでも受験可能なので、大分県外の方にもぜひチェックしてみてほしい検定です。
甲賀流忍者検定
「ご当地検定」のカテゴリに入れるのが妥当なのかどうか微妙な感もありますが、甲賀忍者研究会が主催し、甲賀市や甲賀市観光まちづくり協会の後援により滋賀県で実施されている非常に面白い検定が、この「甲賀流忍者検定」。
名称のとおり忍者の知識を問う検定ということで、一見「趣味系の検定かな?」とも思えるのですが、実際はかなり専門的というか学術的な内容。忍者にまつわる学術的資料や戦国時代の文献などをもとに「リアルな」忍者の知識を問う内容となっていて、フィクションやファンタジーに出てくる魔法のような術を使う忍者などは基本的に出てきませんのでご注意ください。
この検定でユニークなのは試験当日の「忍者コスプレ」や「手裏剣打ちの実技試験」などにより加点要素があるという点。試験会場では忍者グッズ販売や演舞なども行われているので、検定試験というよりもまるで「忍者をテーマとした体感型イベント」のよう。全国各地から忍者好きの方が集まる一大イベントとなっています。
試験当日は著名な歴史学者や大学教授による特別講演(要予約・無料)も行われ、忍者にまつわる最新の研究成果などの真面目なお話が聴けるほか、極めつけは合格証書が「巻物」形式だという点も非常に興味をそそられます。
「忍者」という観光資源?をユニークな形で大いに活用しているご当地検定だといえるでしょう。