2019.07.16

試験勉強の極意は「自分で問題を作る」こと

私は常日頃さまざまな資格試験を受験するだけでなく、資格試験の主催団体から作問の依頼を受けて実際に試験問題を作成することがたびたびあるのですが、作問者の立場に立ってみて気付いたことがあります。
それは、「教科書のどの部分から出題しようかな」と考えながら教科書を隅から隅まで読んでいくということをやっていると、教科書の内容がびっくりするほどよく頭に入ってくるということです。

イチ受験生としての教科書読み進めと比べて大きく異なる点は、明確な目的意識をもって主体的に取り組めるということです。試験問題を期限までに作成して納品しないといけないという明確なミッションがあるわけですから、本気で取り組まざるをえません。
「できるだけいい点数を取りたい」程度の気持ちで勉強するのとでは、意識の面で大きく違います。読み進むスピードや、内容の吸収率も大きく変わってくるのです。

試験勉強に対して強い意志をもって取り組んでいるという人も当然いらっしゃるとは思いますが、イチ受験生という立場である以上、結局のところどうしても受け身の姿勢なのです。
「仕事で必要なので早急にこの知識を身につけなければならない」という緊急の必要性に迫られた勉強であるならばまだしも、学校の勉強のような「近い将来確実に必要になる知識」とも言い切れないことの勉強に対しては、無意識に一歩引いた感覚になってしまうのです。

そこで、「自分がこの内容から試験問題を作るとしたらどうするか?」を常に意識しながら教科書を読み進めるクセをつけることをおすすめします。
これを実践することで、教科書を読む際の意識が大きく変わることに加えて、試験攻略に対する嗅覚が磨かれます。
「ここはみんな間違えて覚えていそうだから、こんなひっかけ問題が作れそう」「この2つの似たようなワードを入れ替えた文章が『誤りの選択肢』として出そう」といった思考ができるようになり、教科書の中でも特に出題されやすそうなポイントや、暗記に注意が必要な箇所に対して敏感になれるのです。
「似たようなワードを混同しないように覚える」「教科書の内容そのままではなく、少しアレンジして出題されたときも対応できるようにしておく」といった、得点力アップのための勘どころをおさえた勉強ができるようになります。
もし勉強仲間がいるなら定期的に「自作問題の出し合いコンテスト」をやってみるのも効果的です。

試験で得点するために重要なのは、「教科書の内容を理解すること」というよりも、「教科書を試験範囲とした問題が実際に解けること」です。
教科書の内容を理解したつもりでも、いざ問題として出てくると解けないこともあります。問題として出たときに対処できるための準備が必要です。その準備として効果的なのが「自分で問題を作ってみること」なのです。

特に、「入手可能な問題集や過去問が存在せず、教材として使えるものが教科書的な書籍しか存在しない」ようなタイプの試験の勉強をする際に、「自分で問題を作る」戦法は非常に有効です。
他の受験者が漫然と教科書を読むだけの勉強をしているであろう中、自分だけは実戦を具体的に想定した対策を行うことができるわけですから、その優位性は明確です。

今回の記事は、鈴木所長の新刊『東大→東大大学院→600個超保有の資格王が教える 点数稼ぎの勉強法』(ダイヤモンド社)の一部内容をアレンジしてお送りしました。
ぜひ本書もあわせて読んでみてくださいね!

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