2025.03.11

貿易の資格は通関士・貿易実務検定だけじゃない!

過去記事『「ホワイト国問題」を機に勉強してみたい、貿易関連の資格』でもご紹介したとおり、貿易業界の資格といえば「通関士」と「貿易実務検定」が有名です。
トランプ米大統領によって特定の国や品目をターゲットとした追加関税が次々と打ち出されていることが昨今話題になっていますが、これは日本企業のビジネスにおいても大きな影響を及ぼす可能性があり、貿易や関税についてあらためて実務知識や国際情勢をおさえておきたいと考える方も増えているのではないでしょうか。
ということで今回は「貿易の資格は通関士・貿易実務検定だけじゃない!」と題して、貿易業界の実践的な知識・ノウハウが学べる資格をご紹介していきます。

通関ビジネス実務検定
貿易実務検定の主催団体でもある貿易実務検定協会から、貿易実務検定の派生版的な位置付けで2021年に登場した検定。
「通関実務」は「貿易実務」に含まれる概念ではあるものの、通関士試験は通関実務についてより深く問う内容であるぶん、貿易実務検定の試験内容とは想像以上に乖離があります。その差異を埋める内容を学べる検定といえるのがこの通関ビジネス実務検定で、関税法・外為法・通関業法といった法律や、輸出申告・輸入申告の手続き、ロジスティクス、通関地理などについての知識が問われるほか、課税価格や関税額を計算する問題も出題されます。
通関士(合格率1~2割)ほどハードルが高くなく、通関領域の専門知識が学べる検定で、特に「実行関税率表」を読み解くスキルがあると、貿易実務でもより関税額をおさえて貿易するヒントが見えてくるかもしれません。

EPAビジネス実務検定
こちらも貿易実務検定からの派生資格として誕生したもので、2020年に第1回試験が実施された比較的新しい検定です。
EPAとは複数の国や地域間の貿易や投資を促進するための経済連携協定(Economic Partnership Agreement)のことで、これもここ最近注目されるようになってきた貿易関連のトピックです。
EPAとはざっくりいえば、国家間の貿易関係を軸に、投資、知的財産権保護、政府調達、人の移動など経済全般について広く連携を深めようという枠組みで、この知識をうまく活用すると、貿易実務の効率化やコスト削減を図ることができます。貿易実務におけるプラスアルファの知識としてぜひおさえておくとよいでしょう。

銀行業務検定 外国為替3級・2級
銀行業務検定は主に金融業界の方向けに実施されている検定試験ですが、一般の人でも受験することができ、数多くの試験区分(種目)が存在しているのが特徴です。
ほとんどの種目は「財務」「金融経済」「年金アドバイザー」といった会計・経済・金融領域の内容となっていますが、「外国為替」という種目もあり、この種目では輸出入、国際取引、為替など貿易に関する実務知識を問う内容となっています。
貿易実務では各種書類のやりとりや決済などで金融機関と連携する場面も多いですが、貿易関連業務を金融機関側の視点から見ることで、貿易会社側の立場では気付かなかった側面もいろいろ見えてくるはずです。一味違った貿易実務ノウハウを身につけたい方におすすめしたい検定です。

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