2021.10.26

試験の「難しさ」にも種類がある

「○○士試験は難関だ」「○○検定1級は難しい」という声を聞くことがよくあります。
しかし、試験の難しさにもいろいろな種類・タイプがあり、ひとくちに「難しい試験」といっても、「具体的にどのように難しいのか」はさまざまです。そのあたりの評価がなされないまま抽象的に語られていることが多いようにも感じます。
私がこれまでにのべ1000を超える資格・検定試験を受けてきた経験から、試験の「難しさ」というのは以下のようなタイプ分けができるのではないかと考えます。

【1】試験範囲が広すぎる・覚えることが多すぎる
多岐にわたる法律の条文を覚えないといけないとか、細かな単語・数値などを大量に暗記しないといけないというケース。

【2】試験範囲が明確に定まっていない
試験のテーマは決まっているが、出題元となる書籍・文献などが明確には存在していないため、具体的に何をどう勉強すればよいかわからない(どこから出題されるかわからない・際限がない)というケース。ある意味、試験範囲が広すぎるケースよりも困ります。

【3】試験テーマが理論的に難解すぎる
高度な数学の知識が必要だったり、難解な理論の理解が必須だったりして、そのテーマ自体がまず難解だというケース。

【4】試験に関する情報が少なすぎる
そもそもどういった内容が試験で問われるのかという情報すら一般には出回っていないという試験もあります。一度は不合格になることを覚悟で、まずは情報入手のためだけにダメ元で一度受験してみることが有効となるケースも。

【5】試験時間が短すぎる
たとえば四択問題100問を30分で解かなければならないなど、試験問題の量に対して試験時間が短すぎるケース。じゅうぶんな時間さえあれば容易に解けるレベルの問題も、試験時間が短いだけで一気に難易度が上がります。

【6】出題傾向がひねられすぎている
ひっかけ問題や、重箱の隅をつつくような細かすぎる事項が問われるような意地悪な問題が多数出るケース。

【7】出題の形式が特殊・複雑
択一式問題なら勘でなんとかなることもありますが、論述式試験や実技試験などは付け焼刃では通用しないので、より綿密な対策が必要になります。マークシート問題でも「以下のうち、正しいものをすべて選べ」という形式の問題はかなり難易度が高くなります。

【8】採点基準が明確・客観的でない
配点や採点基準が公表されておらず、何をどうアウトプットすれば合格基準を満たすのかの判断が難しいケース。採点者の主観が入る余地が大きい実技試験などでは特にこの傾向が強いといえます。

【9】合格基準点が高い
一般的な試験の合格ラインは「満点の6割~7割以上」と設定されているところ、8割や9割といったかなり高いラインが要求されるケース。ちょっとしたミスが命取りになることも。

【10】足切りの基準が厳しい
総得点では合格基準点を満たしていたとしても、1科目でも足切りラインを下回っていると不合格となるケース。広範囲にわたってまんべんなく勉強しないといけない(「捨て科目」を作れない)ので対策が難しくなります。

【11】相対評価で、合格者の定員が少なすぎる(もしくは合格率が低すぎる)
合格者の定員や、全受験者数に占める合格者数の比率があらかじめ決まっている場合、自分の得点がいくら高くても、他の受験者のほうがもっと高かったら合格できません。

【12】相対評価で、他の受験者のレベルが高い
特定の学歴要件を満たす人や特定の資格の有資格者のみが受験可能な試験の場合、受験者レベルが相当高い層の中での競争となるので、相対評価の場合、その中で上位に入ることは至難の業です。

このようにさまざまなタイプの「難しさ」があります。
ですので、ある人の言う「○○試験は難しい」という評価が、上記のうちのいち要素のことのみを指して難しいと言っている(実は他の側面から見るとつけ入るスキはいくらでもある)というケースもあります。
たとえば「確かに試験範囲は極めて広い(【1】のケース)のだが、試験では過去問と同じ問題がかなりの割合で出るので、過去問を徹底的に対策しておけば普通に得点できる」という試験があったりもするわけです。
実際に私も、超難関とされる某検定の1級試験(合格率約10%)で、過去問を下位級のものも含めてできる限り過去までさかのぼって収集し、徹底的に対策して臨んだところ、想像以上に高得点で合格できたということがあります。

そもそも実際にその試験を受けたり勉強したりしたこともない人が、憶測だけで「難しい」と言っているケースも多いです。たとえば、単に合格率の数値が低いということだけから「難しい試験だ」と思われていることもあります。
「世間では難しい試験と言われているから…」というだけで挑戦を尻込みしてしまうのはもったいないことです。世間の評価をうのみにしずぎず、ぜひ自分でも分析して可能性を模索してみましょう。

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