計画を立てるより、まず実践せよ
資格試験の勉強計画を立てる際、学生時代の「夏休みの宿題」の計画を立てるのと同じような感じで考えてしまう人が多いのですが、資格試験の勉強計画を夏休みの宿題と同じようにとらえてしまうのは、実はズバリ「失敗の元」です。
資格勉強も夏休みの宿題も、「かなりのタスク量があり、長期間にわたって取り組まなければならない勉強課題」という点では確かに共通しています。
しかし、夏休みの宿題が「夏休みまでに勉強したことの復習(漢字・計算ドリルなど)」や「過去に経験済のタスクの繰り返し(読書感想文や自由研究など)」であるのに対し、資格試験の勉強というのは基本的に「これまでに学んだことがない内容を習得する」勉強が大半となります。
未体験の分野の勉強では「実際にやってみないとわからない」ことが数多くあります。たとえば「この単元の習得に想像以上に時間がかかった」とか「最初に買った参考書だけでは不十分だと思ったので、追加で2冊目の本を購入した」といった想定外のことがしばしば起こります。
そのため、最初に綿密な計画を立てたとしても、実行段階では「まったく計画通りに進まない」という結果になりがちなのです。
こうなるとメンタルにも悪影響となり、「計画通りにいかない→落ち込んで勉強が嫌になる→モチベーションが下がりさらに進捗が遅れる→挫折」という負のループにもつながってしまいます。
つまり、へたに計画を立ててしまうことによって「計画と現実とのギャップ(進捗遅れ)がモチベーションを下げてしまう」というデメリット・逆効果につながってしまうケースもあるのです。
これを防ぐためには、具体的な計画を立てるよりもまずは勉強を実際に始めてみることです。
具体的には、最もやるべきことは過去問のレビューです。最初は解けなくてもいいので、まずは「科目Aはある程度わかるが、科目Bはほぼ初見の内容」とか「この問題を解くためにはこういう知識・スキルが必要そう」といった感触をざっくりつかみます。
テキストはざっと全体を流し読み(高速でパラパラめくってざっと目を通す程度でOK)したのち、特に対策が必要そうな単元をひとつ選び、実際に少しだけ「しっかり読み進めて」みましょう。3~4ページ程度でもじゅうぶんです。
こうすることで、「参考書1ページあたり、こなすのに何分くらいかかりそうか」「勉強時間1時間あたりで、どのくらいのことができそうか」などの目安が体感できます。
ここで重要なことは、解けない・わからない箇所があってもいちいち落ち込まないこと。この段階では「できなくて当たり前」なので、わからなすぎて落ち込んでしまったりする必要はまったくありません。真の目的は「習得にかかりそうな時間や労力を、実際の体感から見積る」ことです。
そして、具体的な勉強計画を立てるのならば、この後の段階(タイミング)で立てましょう。
「参考書を1ページこなすのにかかりそうな時間」などをある程度つかめた状態で検討することによって、「いきなり計画を立てる」のと比べて、より実現性の高いタスク配分やノルマ設定ができるようになるからです。
逆に、勉強を始める前にいきなり計画を立ててしまうのでは、実現可能性が乏しい「絵に描いた餅」になってしまうのです。さらに言えば「計画を立てるのに使った時間・労力が無駄になる」ことにもなってしまいます。
資格試験の対策では、「勉強計画はいきなりは立てない」(ある程度勉強を進めてみてから立てる)ことをおすすめします。