
M&Aの基本を学べる資格
日本製鉄によるUSスチール買収にまつわるニュースが話題になっています。
企業のMergers(合併)やAcquisitions(買収)のことを指す「M&A」は昨今は国内でもかなり一般化してきた感もありますが、M&Aの実務は法務・財務・税務・人事など幅広い領域の知識やノウハウが必要。弁護士や公認会計士などの専門職が関わる高度な専門知識が必要な領域ですが、M&Aの総論や基本的知識を学べる資格・検定というのもいろいろあります。
ということで今回は、M&Aの基本を学べる資格をご紹介します。
M&Aスペシャリスト
一般社団法人日本経営管理協会が主催する資格試験。M&Aの実務や法務・会計・税務などについて総合的に問う内容で、全問記述・論述形式で出題されるのが特徴。企業買収の各種手法のメリット・デメリットを説明させるような問題など、M&Aに関する実践的な知識やスキルが問われる内容となっています。
私も実際に受験しましたが、細かい専門知識を問うというよりは、総合的な知識をもとに、専門家として顧客企業に対して説明できるスキルや、提案力・構成力が必要という印象の試験です。
教材としてはいくつかのM&A関連書籍が参考書籍として挙げられているほか、
協会による公式の公開講座も実施されています。
また関連資格として「事業承継支援スペシャリスト」「経営管理士」といった経営管理に関わる領域の各種資格制度も運営されています。
事業承継・M&Aエキスパート
FP技能検定の主催団体としても知られる一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)が運営する資格制度。
4つの資格区分があり、「事業承継・M&Aベーシック」「事業承継・M&Aエキスパート」の2つは「金融業務能力検定(事業承継・M&Aコース)」の該当する級の試験にパスすることによって認定される、基本レベルの内容です。
上位資格である「M&Aシニアエキスパート」「事業承継シニアエキスパート」の2つは「認定講座の受講+試験合格」のフローを経て取得することができます。認定講座はM&A仲介実績No.1の(株)日本M&Aセンターの専門家が講師を務めるもので、非常に専門的・実践的なM&Aノウハウを学ぶことができます。M&Aの実務スキルを本格的に高めたい人におすすめです。
銀行業務検定 事業承継アドバイザー3級
銀行業務検定は主に金融業界の従業者向けに実施されている歴史ある検定試験ですが、一般の人でも特に制限なく受験することができます。
数多くの試験区分(種目)が存在しているのが特徴で、金融機関の各種業務範囲に対応する種目(法務・税務など)に加えて、昨今はDXなど金融機関が顧客のニーズに対応して専門知識を高めていくべき新しい領域の種目が続々と新設されています。
そのひとつが「事業承継アドバイザー」で、M&Aや事業承継についての基本知識や金融実務ノウハウなどを問う内容となっています。今回ご紹介した3資格の中では最も入門的なレベル感といえ、M&Aの知識ゼロからでも取り組みやすい内容です。