2018.12.05

目指す資格とは別の資格の参考書も活用してみよう

何かの資格試験の勉強や教材選びをしていて、「市販の参考書にはいまいち自分にちょうどいいものがないな…」と感じることってありますよね。そんなときには、「A試験の勉強をするのに、B試験の参考書や問題集を活用する」というやり方も柔軟に織り交ぜていきましょう。
目指す資格の対策用として発刊されている参考書や問題集だけを使うことにこだわる必要はまったくないと私は考えます。以下でその具体例をご紹介していきます。

【1】より入門的なレベル感の資格の参考書から入る

「難関の○○資格を目指しているけど、いきなりその資格用の参考書を読むのは自分には難しすぎる」という方におすすめ。最初からその最終目標の資格を目指すのではなく、まずはその分野における入門・ステップとなる資格から挑んでみたり、そのような入門資格の参考書から手をつけてみるというやり方です。
たとえば、「最終目標の資格は公認会計士・税理士だけれど、まずは会計分野の登竜門資格である日商簿記検定2級を目指す」「司法書士・行政書士を目指したいけど、法律分野はまったく勉強したことがないので、まずはビジネス実務法務検定3級の参考書で勉強してみる」といった例が挙げられます。
このような「その分野の入門的な資格」は、他の難関国家資格についても想像以上にいろいろ存在しています。たとえば社会保険労務士に関連するものでは「ワークルール検定」「銀行業務検定(年金アドバイザー種目)」、弁理士に関連するものでは「知的財産管理技能検定」「ビジネス著作権検定」など。
また、そもそも特定の資格試験対策用の参考書ですらない、試験の内容に関連する一般書やビジネス書などを教材として使うのもアリですね。最近は「マンガでわかる○○」のような、知識ゼロからでも手軽に学べる書籍もいろいろと出ていますので、まったく未知の分野をゼロから勉強しようとする場合はそのような本を活用してみるのも効果的です。

【2】似たような科目のある他試験の参考書を活用する

たとえば中小企業診断士の第一次試験は、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「経営法務」「経営情報システム」など、7科目もの試験科目からなります。しかもそれぞれがかなり独立した領域のテーマなので、かなり多岐にわたる内容を勉強する必要があります。
参考書についても、これら7科目についてシリーズ化されたテキストや問題集が各出版社から出ていたりしますが、すべての科目について同じ出版社から出ている同じシリーズの参考書で揃えることが必ずしも最良とは限りません。むしろ、「『経済学・経済政策』はX社の参考書、『経営法務』はY社の参考書で勉強」というように、自分に合った教材を科目ごとに適宜選択していくべきです。
また、「財務・会計」科目については中小企業診断士用の参考書ではなく簿記検定用の参考書を使うなど、特定の分野に特化した他資格の教材を活用したほうがむしろ勉強しやすいというケースもあります。数多くの科目にわたるシリーズものの参考書群は、シリーズ全体で見るとよくまとまっているように見えても、個々の科目単位で見ると、他にもっと良い参考書があったりもするものです。

【3】目指す試験よりレベルの高い勉強からあえて入ってみる

【1】とは完全に真逆の考え方ですが、あえてかなりレベルの高い内容をいきなり勉強してみることを経験してから、真に目指す試験の勉強へと勉強レベルをグレードダウンさせてみると、その内容が非常に簡単な内容に思えてしまうというものです(この「かなりレベルの高い勉強」は内容を全部理解しきれなくても良いです)。
勉強に限らず、仕事やスポーツなどにも共通していえることですが、負荷ゼロの状態からいきなり負荷を100に上げようとするとキツく感じますが、負荷をいったん200に上げてから100に落とすと楽に感じるものです。同じ「負荷100」であっても、感じ方に大きな違いが出てくるわけです。
この考え方は、もともとは私の大学の先輩が「長年勉強していた司法試験を結局は諦めたのだけれど、その後、宅建と行政書士を受験してみたら楽勝で受かった」という話をしていたのをヒントにしたのですが、私自身、行政書士の試験を受ける際に、憲法・民法などの科目についてはあえて司法試験レベルの勉強をしてみました。結果、確かに、行政書士の試験内容が比較的簡単なものに思え、かなり余裕をもった点数で合格することができました。
試験では「この問題は行政書士の過去問にはなかったけど、司法試験の過去問で出ていた論点だな」ということもありました。司法試験向けの勉強によって、よりレベルの高い問題を解くというよりは、より多くのパターンの問題にふれたのがよかったのかなと思います。
一般的には、試験勉強は必要以上に手を広げ過ぎるとエネルギーが分散して逆効果になるため、過去問などに絞り込んだ勉強をする(選択と集中)のが効果的です。しかし一方で、過去問だけやっていてもカバーしきれない試験が存在するのも事実です。そのような試験の場合は、より多くの問題を解くために他の試験に手を広げてみるのも有効です。

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